赤い砂 井岡瞬 ネタバレと感想

赤い砂 (文春文庫)
著者:井岡瞬
発行者:花田朋子
2020年11月10日初版
ジャンル:ミステリー

あらすじ
国立疾病病理管理センターの阿久津が電車に飛び込み自殺しました。それから2週間後、阿久津を引いた電車の運転手早山が車に飛び込み、自殺現場検証を行った警視庁の鑑識係工藤が同課の山崎から銃を奪って頭を打ち抜き自殺しました。それから更に2週間後、山崎が飛び降り自殺をしました。
こうも続く自殺の連鎖はなぜ起こるのか。工藤には幸せな家族がおり自殺する理由など無かったと思われるのに、なぜ突然そんなことをしたのか。それから3年後に「赤い砂を償え。」と脅迫された西寺製薬は、最多探偵事務所に差出人を探るように依頼しますが、その直後斉田は自殺しました。
これらの自殺に関連性があると感じ、真相を知りたかった戸山署刑事課の巡査部長永瀬遼は、受け持った仕事とは別に独自で調査しました。後少しで真相に辿り着くところだったのに、上にばれて謹慎処分になってしまいます。懲戒免職を覚悟で西寺邸に潜り込みます。そこで見たものは何だったのか。意識が朦朧としていく中、目が覚めた時は病院のベットの上でした。
真犯人は病院に乗り込み、眠ている永瀬を目の前にし、細工を施し立ち去ります。その事実を知った永瀬は死期を悟り、一人病院を抜け出し子供の時家族旅行で行った場所へ行きました。阿久津と一緒に働いていた、管理センターの有沢美由紀はそれを追います。

ネタばれと感想
前回この作者のを読みましたが、犯人に共通点があることに気づきました。サイコスパに変わってしまった人、自己顕示欲が強い、大きなネタばれになってしまいますが息子である、こんなところです。
この本は2002年に書き下ろし、発表することなく埋もれていた作品で、今回急遽出版になったものだそうです。当然新型コロナの影響もあると思います。しかし2002年当時に書いたウィルスを題材にした本でも、今読んでもとても面白いです。名著は時間を経ても廃れないものなんだなと感心しました。あとがきにあるようにこの作者も似たような映画や小説からヒントを得たと思いますが、ストーリーの持って行き方はこの人ならではだと思いました。読んで良かったと思いました。

私の評価
ストーリー 5
描写 3
登場人物の個性 4
意外性 4
トリック 無

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